悪魔アスモデウスは七つの大罪、色欲(ラスト)の悪魔です。
ソロモン72柱にも数えられ、魔導書ゴエティアの記述では
牛、人、羊の3つ頭で、ガチョウの足と毒蛇の尻尾を持ち、
竜にまたがり軍旗と槍を持っていると言う。
口から火を吹く事ができるとも。
その姿を見ても恐れる事なく、敬意を持って接すれば指輪など物をくれたり、
アスモデウスの得意な幾何学や天文学などの知識を授けてくれると言う。
ソロモン72柱の中には生け贄を要求したり、嘘をついたり、
言う事を聞いてくれなかったりする悪魔も多い中、
アスモデウスは人間にも友好的に感じます。
とはいえかのソロモン王を騙してその魔法の指輪を取り上げたり、
サラという少女に取り憑いて彼女の婚約者を7人も殺害したり
悪魔らしい一面も見せています。
(サラに取り憑いた理由は不明ですが、仮にサラが好きだったために
婚約者を殺していたのだとするとだいぶ人間らしさが出てくるのですが…。
婚約者は殺してもサラ自身に危害を加えていない事を考えると想像が膨らみます。)
また、ユダヤ教の伝承では人間と天使のハーフであるとも言われています。
そんな親しみやすさを持つアスモデウスですが、
もとはといえばゾロアスター教の悪魔「アエーシュマ」が原型であると言われています。
アエーシュマの名前は「狂暴」を意味し、暴力と酒の酔いの化身であるとされ、
毛むくじゃらの体で血塗られた武器を常に持っているとされています。
アスモデウスよりもアエーシュマの方がだいぶ凶悪なイメージです。
ゾロアスター教は元祖二言論の宗教、つまり正義と悪が2つにわかれ、
互いに戦い続けていると言う世界観を持っていました。
後に、善と悪が戦うと言う世界観はユダヤ・キリスト教に反映されて行くのですが、
まだ善と悪の概念が別れておらず、サタンも神と賭けをして神と信徒を困らせるものの
完全な悪としては描かれていなかった時代、ゾロアスター教では善神と悪神が世界をかけて
バトルを繰り広げていました。
その、ゾロアスター教の神話で、悪神の配下として生まれ、他の悪神たちを束ね、善神に戦いを挑むために立ち上がったのが悪魔アエーシュマです。
そう、神話の中で"悪魔"として生まれた初めての存在と言ってもいい!
当時からオリエント神話では後に悪魔とされるバアルやアシュタルトはおりましたが彼らは神、
サタンも"敵"として聖書に存在してはいましたが、まだ天の使いとしてのニュアンスを残している頃に、アエーシュマは『悪魔』として神話に登場しました。
ゾロアスター教ではアエーシュマの他にも悪魔が登場しますが、他の宗教にも語り継がれたのはアスモデウスだけだと思います。
『アーリマン』の主要メンバーとしてアスモデウスを選んだのは、
この"元祖悪魔"というポイントをどうしても押さえておきたかったからです。
悪魔学の歴史から見てみれば、あるいみサタンより、さらにマーラよりも先輩悪魔。
『アーリマン』作中ではサタンの部下、という位置づけですが密かにバンドをまとめているのは
悪魔の大先輩であるアスモデウスなのです。
それなのにユダヤ・キリスト教の伝承ではなんとも報われない話が多い。
そこも彼の魅力ではありますが…。
アスモデウスを主要キャラに採用したのにはもう一つ別の理由もあるのですが、
それはまた次の機会にお話しします。
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