世界に神話は沢山ありますが、日本神話のようなその国固有の神話もあれば、仏教のように色々な国で語られる神々もあります。
神話の中でも大きな流れを持つのが、セム系神話とインド・イラン神話です。
この2つは今でも信仰されている世界三大宗教にも関わる神話です。
と言っても、なんのことやらと思う人も多いと思うので、
ここからは私がざっくりと2つの神話群に分けてみたいと思います。
(自己流です話半分に聞いて下さい)
2大神話の系譜、分類のマイルール『登場人物がだいたい同じ』
ポイントはここだけ!
たとえばセム系の代表的な文章として旧約聖書やコーランが上げられます。
旧約聖書はユ/ダ/ヤ教、キ/リ/ス/ト教の正典、そしてコーランはイ/ス/ラ/ム教の聖典ですね。
(つっこみが怖い小心者なので名称に検索よけをさせてもらいます。
心の目でハイフンを飛ばして下さい。)
この三つの宗教の神様は同じ神であると宗教学的には言われています。
そして出て来る天使達もミカエルやガブリエルと名称が共通しています。
もちろんサタンもルシファー、イブリースと名前は変わりますが
神に敵対する堕天使としてほぼ同じ役柄を持ってそれぞれの神話に登場します。『登場人物が同じなら敵でも味方でも同じグループ!』セム系神話編
ちょっと宗教に詳しい人なら、ユ教・キ教・イ教の三宗教が同じ派生なのはご存知かと思います。
この他にセム系神話に含まれると言われるのが、オリエント神話の一つ、ウガリット神話です。
具体的に登場神様をいいますと、バアルやアスタルトがそれにあたります。
あれ?バアルって悪魔じゃなかったっけ…という話になりますが、旧約聖書から見ると悪魔(もしくは悪神)に値する彼らもウガリット神話では信仰対象の神様です。
こんな感じで、ある神話では神でも対立するお隣の国・部族の神話では悪魔にされている、
でも、どちらの神話にも同じメンツが登場する…という神話をざっくり1グループにわける事ができます。
この分け方は言語学的な分け方でもあります。同じ系統の言語で成り立っているので神話の中の人物や場所の名前が一致すると言うわけですね。『同じようにアジアの神話もみてみよう』インド・イラン神話編
さて、セム系神話のようにアジアの神話を見てみると、まず大きなものにインド神話があります。
古代インド神話はバラモン教、仏教、ヒンドゥー教などに派生し、これらの宗教は同じ登場神様、同じ世界観の上になりたっています。
具体的に言うと地獄は海の底にあって、海に浮いてる島に人間が住み、その中央には須弥山という神々の世界に通じる山があり、てっぺんに神々の王であるインドラ(帝釈天)が住む。
という世界。
古代インドでは一番偉かったインドラですが、時代が経つにつれ他の神々に地位を譲り、今現在は宗教や宗派によってインドラより良い立地に住むのがブッダだったりシヴァだったりと細かな部分は変わって来るのですが、世界の成り立ちと須弥山から神々の世界が広がる、というのは一致しています。
これはユ教・キ教・イ教で言うなれば、唯一神が世界を作り、アダムとイヴが楽園を追われ人間の世界が地上にでき、堕天使が人間に良くない影響をもたらす。という大前提が一緒なのと同じです。
このようにバラモン教、仏教、ヒンドゥー教をユ教・キ教・イ教に例えるなら先のウガリット神話にあたる位置にあるのは何なのか…ここでゾロアスター教が出て来ます。『インドの神々と仲が悪くなるペルシア(イラン)の神達』ゾロアスター教
ゾロアスター教は古代ペルシアで起こった宗教です。ペルシアは現在のイラン。
イランにはイ教が進出して来てゾロアスター教は衰退してしまいましたが、インドに移ったペルシア人達の手によって現在も信仰が続いているとの事。
ゾロアスター教は、善神アフラ・マズダーと悪神アンラ・マンユ(アーリマン)その配下の悪魔達ダエーワが世界を巡って常に争っているという、元祖善悪二元論の神話を持ちます。
この世界観を打ち出したのはゾロアスター教の開祖ザシュトラです。
ペルシアの神々はゾロアスター教以前から崇拝されていました。
ゾロアスター教より早く崇拝されていたのはミトラになります。
(ゾロアスター教でも、善神と悪神を仲裁する立場としてミトラ神は活躍します。)
ゾロアスター教が成立する以前はここまではっきりと神々が対立していなかったと言います。
ミトラが崇拝されていた時代、ダエーワは悪魔ではなく、ミトラの配下に位置する神々でした。
そして"ダエーワ"はインドでは"デーヴァ"日本では"天部"と呼ばれます。
つまりインドの神々が、ゾロアスター教では悪神の配下の悪魔とされました。
そしてインド側からみると、神の一柱だったアスラ(阿修羅)が魔族・悪魔という位置づけになっていきます。アスラはゾロアスター教での善神アフラ・マズダーにあたります。
セム系神話ではウガリットの信仰はなくなってしまい、後世では一方的にバアルが悪魔として伝えられる事になるのですが、インド・イラン神話では両者の信仰が生き残っているため、向こうも悪魔こっちも悪魔と言う、少し面白い構図のまま現代まで神話が伝えられています。
どちらの神話にもかたやヒーロー、かたや魔王としてインドラやシヴァが登場するのです。
今回の分け方では『敵でも味方でも登場人物が被ったら同じグループ!』がルールですので、
インドの神話とゾロアスター教はインドラとアスラが居るから同じグループ。と言う事になります。
世界にはたくさんの宗教がありますが、この2つのくくりにメジャー所は分けられます。
こうしてみると、ある一定の神様を押さえておけば大体の神話が飲み込めるので理解しやすくなるのではないのでしょうか。
長くなりましたが今回はここら辺で、本当は別の話をしたかったのですが前振りが長過ぎて辿り着きませんでした。
この話をもとに、次回はアスモをメインメンバーに選んだいきさつを語りたいと思います。
http://devil.mangalog.com/%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0/%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0%EF%BC%9A%E8%A5%BF%E3%81%AE%E7%A5%9E%E8%A9%B1%E3%81%A8%E6%9D%B1%E3%81%AE%E7%A5%9E%E8%A9%B1コラム:西の神話と東の神話